p>地下アイドルを始めるとき、「オリジナル曲は何曲用意すればいいの?」と迷う運営やメンバーは少なくありません。
結論からいうと、業界共通の決まった曲数はありません。ただし、デビューライブなら3~4曲、15~20分の対バンを継続するなら5~7曲程度、60分のワンマンなら14~17曲程度の持ち曲があると、無理のないセトリを組みやすくなります。
大切なのは、出演時間を埋める最低曲数と、毎回同じセトリにしないための持ち曲数を分けて考えることです。この記事では、活動段階ごとの現実的な目安と、最初に作るべき曲の役割を解説します。
この記事の要点
- デビュー時は、役割の違う3~4曲がひとつの目安
- 対バンでは「当日使う曲数+1~3曲」の持ち曲があると入れ替えやすい
- 60分ワンマンなら14~17曲、90分なら18~22曲程度が目安
- 一度に大量発注せず、ライブの反応を見ながら足りない役割を追加する
地下アイドルのオリジナル曲は何曲必要?一覧で確認
まずは、活動段階と出演時間別の目安を確認しましょう。下表は平均3分30秒前後の曲を想定した企画上の目安であり、絶対的な決まりではありません。曲の長さ、MC、SE、告知、転換時間によって必要曲数は変わります。
| 活動・出演時間 | 当日歌う曲数の目安 | 持ち曲全体の目安 |
|---|---|---|
| お披露目10~15分 | 2~3曲 | 2~4曲 |
| デビュー15~20分 | 3~4曲 | 3~5曲 |
| 対バン15分 | 3~4曲 | 4~6曲 |
| 対バン20分 | 4~5曲 | 5~7曲 |
| 対バン25分 | 5~6曲 | 6~8曲 |
| 対バン30分 | 6~7曲 | 8~10曲 |
| 単独公演45分 | 9~11曲 | 10~13曲 |
| ワンマン60分 | 12~15曲 | 14~17曲 |
| ワンマン90分 | 16~20曲 | 18~22曲 |
| ワンマン120分 | 20~25曲 | 23~28曲 |
カバー曲、ソロ曲、ユニット曲を取り入れる場合は、必要なオリジナル曲数を一時的に減らせます。ただし、グループの名前や世界観を覚えてもらうには、オリジナル曲が中心となる構成が望ましいでしょう。
必要曲数は持ち時間から逆算できる
出演枠だけを埋める最低曲数は、次の式でおおよそ計算できます。
必要曲数=(持ち時間-SE・MC・曲間・告知・退場時間)÷平均曲時間
端数は切り上げます。たとえば20分枠で、MCと曲間などに合計4分、平均曲時間が3分30秒なら、歌に使えるのは16分です。
16分÷3.5分=約4.6曲となるため、計算上は5曲必要です。ただし、5曲すべてをフル尺で披露すると時間超過の危険があります。実際には4曲+短いMCにするか、曲尺を正確に足して調整しましょう。
時間計算で忘れやすい項目
- 登場SEと立ち位置への移動
- 曲間の暗転やフォーメーション移動
- 自己紹介と告知
- 観客とのコール&レスポンス
- 最後の挨拶と退場
- 音源トラブルに備えた予備時間
出演枠を超えると、後続出演者やイベント全体に影響します。リハーサルでは曲間まで含め、スマートフォンのタイマーで通し時間を測っておくことが重要です。
デビュー時は3~4曲を目安にする
15~20分のお披露目ライブなら、オリジナル曲は3~4曲あるとグループ像を伝えやすくなります。ただ数をそろえるのではなく、それぞれに異なる役割を持たせましょう。
1曲目:グループの顔になる曲
名前、コンセプト、歌声の特徴を一度で伝える曲です。初見の観客が「どんなグループなのか」を判断する入口になるため、衣装やビジュアルとも世界観を合わせます。
2曲目:観客が参加できる盛り上がり曲
初見でも手拍子、振りまね、コールを入れやすい曲です。複雑なルールを知らなくても参加できるフックがあると、フロアに一体感が生まれます。
3曲目:表現の幅を見せる曲
激しい曲が続くならエモーショナルな曲、かわいい曲が中心ならダークな曲など、別の表情を見せます。同じテンポと雰囲気だけで固めるより、メンバーの魅力を立体的に伝えられます。
4曲目:ライブを締める曲
最後にもう一度会場を盛り上げ、グループ名を印象づける曲です。サビを一緒に歌える、決めポーズがある、最後にグループ名を言えるといった仕掛けがあると、終演後の特典会にもつながりやすくなります。
予算や準備期間の都合で1曲しか作れない場合も、デビュー自体は可能です。その場合はカバー曲を適切な許諾のもとで使い、唯一のオリジナル曲を終盤に置く方法があります。ただし、カバーだけでは「このグループでなければならない理由」が伝わりにくいため、次のオリジナル曲を増やす計画も立てておきましょう。
対バンは出演曲数より1~3曲多く持つ
対バンで毎回4曲を披露するなら、持ち曲は5~7曲程度あると便利です。同じイベントに続けて出演しても曲を入れ替えられ、客層に合わせた調整もできます。
たとえば20分枠の基本セットを次のように考えます。
- 登場直後につかむ曲
- 自己紹介につなげやすい代表曲
- 観客参加型の盛り上がり曲
- 余韻または熱量を残す締め曲
ここに、昼公演向けの明るい曲、夜公演向けの激しい曲、歌唱力を見せる曲などを控えとして用意すると、イベントごとに最適化できます。曲順の具体例は「地下アイドルの対バンセトリの組み方!15分・20分・25分の曲順とMC例」も参考にしてください。
まだ曲数が少ない時期は、地下アイドルがライブでカバーすると盛り上がる曲や地下アイドル向けの盛り上がるボカロ曲を組み合わせる方法もあります。市販曲や配布音源を使う際は、楽曲・音源それぞれの権利やイベント側の運用を確認してください。
ワンマンライブに必要な曲数
60分なら14~17曲程度の持ち曲が目安
60分公演では、MCや映像を含めて12~15曲程度を披露するケースが考えられます。毎曲を詰め込むより、前半・中盤・終盤に山場を作ることが大切です。
当日披露する曲と同数しか持っていないと、メンバーの体力や声の調子に合わせた差し替えができません。14~17曲程度あると、数曲を候補から外す判断もできます。
90分なら18~22曲程度を用意する
90分公演なら16~20曲程度を披露できる構成が目安です。ライブ本編に加え、映像、衣装替え、ソロ・ユニット、アンコールを組み合わせると、観客が疲れにくい流れを作れます。
ただし、曲数が足りないからと長いMCで埋めるのはおすすめしません。MC自体に企画性がなければ、ライブの熱が下がる原因になります。ワンマン開催を発表する前に、現在の持ち曲で何分の公演が成立するかを通しリハーサルで確認しましょう。
120分は曲数だけでなく演出が必要
120分公演では20曲以上がひとつの目安ですが、全編を同じ調子で歌い続けるとメンバーにも観客にも負担がかかります。ソロ、ユニット、映像、バンド演奏、トーク企画などを取り入れ、感情と体力の波を設計します。
「2時間公演だから25曲必要」と機械的に発注するのではなく、まず公演のテーマと構成を決め、その後に不足する曲を洗い出すほうが無駄を抑えられます。
曲数より重要なのは「役割の重複」を避けること
10曲あっても、すべて同じBPM、同じキー、同じようなコールの曲なら、セトリの変化は作りにくくなります。制作前に、持ち曲を役割ごとに分類してみましょう。
| 曲の役割 | ライブでの目的 |
|---|---|
| 登場曲 | 最初の30秒で視線を集める |
| 代表曲 | グループの名前と世界観を覚えてもらう |
| 沸き曲 | コールや振りでフロアを動かす |
| 初見参加曲 | 手拍子や振りまねで新規客を巻き込む |
| 歌唱曲 | 歌声、歌詞、表現力を届ける |
| 転換曲 | ライブの空気や物語を変える |
| 締め曲 | 最後の熱量と記憶を残す |
観客が反応しやすい曲の特徴は「地下アイドルの沸き曲とは?」、ライブで使われる掛け声は「アイドルのコールの意味とは?」で詳しく解説しています。
オリジナル曲を追加すべき7つのサイン
次のような状態が増えたら、新曲を検討するタイミングです。
- どのライブでも同じ曲順になっている
- 登場直後に観客をつかむ曲がない
- 最後を任せられる代表曲がない
- 曲のテンポや世界観が似通っている
- 新メンバーの見せ場がない
- ファンから別の曲も聴きたいという声が増えた
- 単独公演やワンマンの開催が決まった
反対に、振り入れや歌い込みが追いついていないなら、新曲を急いで増やす必要はありません。完成度の低い10曲より、観客が一緒に楽しめる3~4曲を磨くほうが、デビュー期には効果的です。
失敗しにくい曲の増やし方
第1段階:3~4曲でグループの仮説を試す
まずは代表曲、盛り上がり曲、対照的な曲、締め曲を用意します。ライブ動画、特典会での会話、SNSの反応を見て、どの要素が観客に届いたかを確認します。
第2段階:不足する役割を2曲追加する
「盛り上がるが歌を聴かせる曲がない」「かわいい曲は強いが夜の対バンで埋もれる」など、実際の課題に合わせて追加します。似た曲を増やすのではなく、既存曲では担えない役割を依頼内容に入れます。
第3段階:8~10曲でセトリを回せる状態にする
15~30分の対バンで、会場や出演順に応じて選曲できる状態を目指します。ファンが通っても毎回同じ印象にならず、新規客向けの定番曲も残せます。
第4段階:ワンマンの物語から逆算する
14曲以上を目指す段階では、公演のテーマ、感情の流れ、衣装替え、アンコールまで設計します。「曲数を埋めるため」ではなく、「この場面に必要だから作る」という順番にすると、作品としてまとまりやすくなります。
曲制作を依頼する前に決めること
作曲家へ「盛り上がる曲をお願いします」とだけ伝えても、期待する完成形は共有できません。少なくとも、次の項目を整理しておきましょう。
- グループのコンセプトと想定する観客
- 曲の役割とセトリ上の配置
- 希望する長さ、テンポ、キーの範囲
- 観客にしてほしい動きやコール
- メンバーごとの音域と得意な表現
- 参考曲と、参考にしたい具体的な要素
- 納期、予算、修正回数
- 著作権・著作隣接権・収益化・二次利用の条件
費用の内訳や依頼先の選び方は「地下アイドルのオリジナル曲制作を依頼するには?費用相場・作曲家の選び方」で詳しく解説しています。
納品時に受け取りたいデータ
ライブ用音源だけを受け取ると、配信、再録、動画制作の段階で困ることがあります。契約内容に応じて、次のデータを確認しましょう。
- ライブ用WAVと確認用MP3
- インスト音源
- 仮歌またはガイドメロディー
- 歌詞と歌割り
- 作詞・作曲・編曲などのクレジット
- 利用範囲と権利関係を記した合意書
- 修正・再録・データ保管の条件
- 必要に応じてパラデータやステム
新メンバー加入や卒業で歌割りが変わる可能性がある場合は、後から編集できるデータの有無と追加料金も先に確認しておくと安心です。
地下アイドルのオリジナル曲数に関するよくある質問
オリジナル曲1曲だけでもデビューできますか?
できます。カバー曲と組み合わせれば出演時間を構成できます。ただし、グループ独自の魅力を伝える機会が少ないため、可能なら役割の違う3~4曲を目標にしましょう。
カバー曲だけで活動しても問題ありませんか?
楽曲と使用音源の権利処理、主催者のルールを満たせば出演できる場合はあります。しかし、他グループとの差別化やグループ名の記憶という点では不利になりやすいため、オリジナル曲を段階的に増やすのがおすすめです。
ワンマンの曲数が足りない場合はどうすればいいですか?
許諾を確認したカバー曲、ソロ・ユニット、既存曲の別アレンジ、映像、トーク企画で構成を補えます。ただし、単なる時間稼ぎに見えないよう、公演テーマの中で意味を持たせることが大切です。
新曲はどのくらいの頻度で発表すべきですか?
決まった正解はありません。周年、主催ライブ、ワンマン、新体制などの節目から逆算し、歌唱・振り入れ・プロモーションまで十分に準備できる間隔にします。話題作りのために急いで完成度を落とすのは避けましょう。
登場SEは1曲に数えますか?
通常は歌唱曲数には数えません。ただし、出演枠と制作予算は使います。持ち時間を計算するときは、SEの再生時間と登場にかかる時間を必ず引いてください。
まとめ:まず3~4曲を磨き、反応を見ながら増やそう
地下アイドルのオリジナル曲数に絶対的な決まりはありません。デビュー時は役割の違う3~4曲、15~20分の対バンを続けるなら5~7曲程度、60分のワンマンなら14~17曲程度が、企画を立てる際のひとつの目安です。
ただし、曲数だけを増やしてもライブは強くなりません。まず少数の曲を実際のステージで磨き、観客の反応を確認し、既存曲に足りない役割を新曲で補いましょう。その積み重ねが、グループらしいセトリと長く愛される代表曲につながります。
※出演条件や著作権処理はイベント、会場、利用方法によって異なります。実際の運用は主催者、権利管理事業者、制作契約の当事者へ確認してください。