VTuberとして配信を始めたものの、「声が小さい」「音がこもる」「キーボードやPCファンの音まで入る」と悩んでいませんか。
音質が悪いとマイクの性能やOBSの設定を疑いたくなりますが、実際にはマイクと口元の距離や向きを変えるだけで改善することがあります。
最初に試したい距離の目安は、次のとおりです。
- ダイナミックマイク:口元から5~15cm
- コンデンサーマイク:口元から10~20cm
ただし、すべてのマイクや声に共通する絶対的な正解ではありません。マイクの機種、声量、部屋の反響、配信中の姿勢に合わせて調整する必要があります。
この記事では、VTuberの配信用マイクと口元の距離、正しい向き、キーボードやPCファンのノイズを減らす方法、試し録りの手順を解説します。
最初に結論
- ダイナミックマイクは5~15cmから試す
- コンデンサーマイクは10~20cmから試す
- 口の真正面から少し横へずらすと息のノイズを減らしやすい
- 遠くへ置いてゲインを上げると環境音も目立ちやすくなる
- 最後は必ず同じ文章を試し録りして比較する
VTuberのマイクは口から何cm離す?
配信用マイクの適切な距離は、ダイナミックマイクかコンデンサーマイクかによって異なります。
| マイクの種類 | 最初に試す距離 | 特徴 |
|---|---|---|
| ダイナミックマイク | 5~15cm | 口元へ近づけて使いやすく、周囲の音を抑えやすい |
| コンデンサーマイク | 10~20cm | 感度が高く、声や部屋の反響を細かく拾いやすい |
| ヘッドセットマイク | 製品指定の位置 | 頭を動かしても口元との距離を保ちやすい |
※距離は調整を始めるための目安です。使用する製品の取扱説明書に推奨距離がある場合は、メーカーの案内を優先してください。
ダイナミックマイクは5~15cmから試す
ダイナミックマイクは、コンデンサーマイクより感度が低い製品が多く、口元へ近づけて使用するのが基本です。
最初は口元から5~15cm程度の位置に設置し、普段の配信と同じ声量で試し録りします。
マイクを適切に近づけると、声を大きく収音できるため、ゲインを必要以上に上げずに済みます。その結果、PCファン、エアコン、キーボードなどの音が、声に対して相対的に目立ちにくくなります。
一方で、近づけすぎると次の問題が起こることがあります。
- 低音が強くなりすぎて声がこもる
- 「パ」「バ」などの破裂音が入る
- 息の音が直接マイクへ当たる
- 声を張ったときに音が割れる
声がこもる場合は、いきなりイコライザーを調整するのではなく、まず数cm離して録音し直してみましょう。
コンデンサーマイクは10~20cmから試す
コンデンサーマイクは感度が高く、ダイナミックマイクより少し離れた位置でも声を収音できます。
最初は口元から10~20cm程度の距離を試し、声の大きさと部屋の反響を確認します。
ただし、「コンデンサーマイクは高感度だから遠くに置いてもよい」とは限りません。机の奥へ置きすぎると、声を適正な音量にするためにゲインを上げることになり、次の音も大きくなりやすくなります。
- PCの冷却ファン
- エアコンや空気清浄機
- キーボードの打鍵音
- マウスのクリック音
- 部屋の外の生活音
- 壁や天井から返ってくる反響音
防音・吸音されていない一般的な部屋では、マイクを机の奥へ置くより、マイクアームなどを使って口元へ近づけた方が明瞭な音を得やすい場合があります。
ヘッドセットマイクは取扱説明書の位置を優先する
ヘッドセットマイクは、頭を動かしても口とマイクの距離が大きく変わりにくい点がメリットです。
ただし、製品ごとに適切な装着位置が異なります。口の真正面に置くと息が当たりやすいため、口角の横など、メーカーが指定する場所へ調整してください。
音量が不安定な場合は、マイクの先端が口元から離れすぎていないか、マイクの収音面が反対を向いていないか確認しましょう。
VTuberのマイク位置は「近ければ近いほどよい」とは限らない
マイクを口元へ近づけると、周囲のノイズを抑えやすくなります。しかし、極端に近づけると別の問題が発生します。
近接効果で低音が強くなる
多くの単一指向性マイクには、音源へ近づけるほど低音が強調される「近接効果」があります。
声に厚みが出るメリットもありますが、近すぎると低音が増えすぎて、こもったように聞こえる場合があります。
配信の声がこもる場合は、次の順番で調整してください。
- マイクを口元から数cm離す
- マイクの正面が口へ向いているか確認する
- ゲインを調整する
- それでもこもる場合にOBSやオーディオインターフェースのEQを確認する
マイク位置を直さないまま高音域を強調すると、ノイズや歯擦音まで目立つ可能性があります。
遠すぎると部屋の反響が増える
口とマイクの距離が遠くなるほど、マイクへ届く直接的な声は小さくなります。
その小さな声を配信に適した音量へ上げるためにゲインを増やすと、部屋の反響や生活音も一緒に大きくなります。
高価なマイクを使っていても、机の奥に置いたままでは本来の音質を生かせない場合があります。まずは口元へ近づけられる位置を作り、その後で入力レベルを調整しましょう。
マイクの正しい向きと角度
口元との距離が合っていても、マイクの収音面が口へ向いていなければ、声をきれいに録れません。
マイクには、主に次の2種類があります。
- エンドアドレス型:マイクの先端へ向かって話す
- サイドアドレス型:マイク側面の収音面へ向かって話す
エンドアドレス型は先端を口へ向ける
放送・配信向けのダイナミックマイクには、マイクの先端で声を拾うエンドアドレス型が多くあります。
円筒形の本体を横向きに設置し、先端部分が口元へ向くように調整します。
マイクの側面へ話すと声が小さくなり、音量を補うためにゲインを上げることでノイズが増える可能性があります。
サイドアドレス型はマイク側面の正面へ話す
コンデンサーマイクには、本体の側面で声を拾うサイドアドレス型が多くあります。
このタイプは、マイクの上部へ向かって話すのではなく、メーカーのロゴや収音マークがある側面を口へ向けます。
前後の見た目が似ている製品もあるため、取扱説明書で正面を確認してください。
真正面から少し横へずらして息を逃がす
マイクを口の真正面へ置くと、「パ」「バ」「タ」などを発音したときの空気が、マイクの振動板へ直接当たりやすくなります。
次のように少し位置をずらすと、息の直撃を避けながら声を収音できます。
- 口元の斜め下からマイクを向ける
- 口の正面から少し左右へずらす
- マイクの収音範囲から外れない程度に角度をつける
角度を大きく変えすぎると高音域が弱くなったり、声が遠くなったりする場合があります。正面から少しずつ動かして試してください。
VTuberのカメラを邪魔しないマイク位置
Webカメラやスマートフォンを使って顔をトラッキングする場合、マイクやマイクアームで顔を大きく隠さない配置が必要です。
特に、口元やあご付近をカメラで認識している環境では、太いマイクを顔の真正面へ置くと、表情や口の動きを取得しにくくなる可能性があります。
口元の斜め下または横から配置する
音質とフェイストラッキングを両立しやすいのは、マイクを口元の斜め下または左右から近づける配置です。
次の条件を満たす場所を探します。
- マイクの正面を口へ向けられる
- 口元との適切な距離を保てる
- カメラから見た顔を大きく隠さない
- モニターの重要な表示を遮らない
- キーボード操作の邪魔にならない
配信中に体を動かす人は、真正面へ固定するより、口元の横から狙う方が姿勢を保ちやすい場合があります。
カメラはマイクより高い位置から顔へ向ける
カメラをモニター上部に置き、マイクを口元より少し下へ配置すると、マイクで顔を隠しにくくなります。
ただし、上からの角度が強すぎるとトラッキング精度や見え方に影響する場合があります。普段の姿勢でモデルの目や口が正常に動くか確認してください。
関連記事:マイクを口元へ近づけながら、カメラやモニターを遮らない配置を作るにはマイクアームが便利です。固定方法やアーム形状については「VTuber向けマイクアームの選び方!カメラを邪魔しない位置・机への固定方法を解説」をご覧ください。
キーボード・PCファン・エアコンのノイズ対策
配信中のノイズは、OBSのノイズ抑制だけで解決しようとせず、最初にマイクの位置を見直すことが重要です。
マイクを口元へ近づけてゲインを下げる
マイクが遠い状態で声を大きく録るには、入力ゲインを上げる必要があります。しかし、ゲインを上げると声だけではなく、周囲の音も一緒に大きくなります。
まずマイクを適切に口元へ近づけ、普段の声が十分な音量で入るところまでゲインを下げます。
「感度の高いマイクへ買い替えればノイズが消える」とは限りません。感度の高いマイクは、小さな生活音まで拾いやすくなる場合があります。
キーボードをマイクの正面へ置かない
単一指向性マイクは、正面の音を拾いやすく、側面や後方の音を抑えやすい性質があります。
マイクを口元へ向けたときに、キーボードまで同じ収音方向へ入らないように配置します。
ただし、マイクの指向性や背面位置は製品によって異なります。メーカーが公開しているポーラーパターンを確認してください。
PCの吸気・排気口から離す
PCファンの音が入る場合は、マイクとPC本体の距離だけでなく、ファンの風がマイクへ直接当たっていないか確認します。
デスクトップPCをマイクのすぐ横へ置いている場合は、PC本体を少し離す、机の反対側へ移す、マイクの拾いにくい方向へPCを置くなどの方法を試します。
PCを密閉された場所へ押し込むと冷却性能が下がる恐れがあるため、静音化のために吸気口や排気口をふさがないでください。
エアコンの風をマイクへ当てない
エアコンの風がマイクへ直接当たると、低い風切り音が発生する場合があります。
マイクの位置を動かす、エアコンの風向きを変える、ウインドスクリーンを使用するなどの対策が有効です。
暑い時期に長時間配信する場合、ノイズ対策のためにエアコンを完全に止め続けるのは安全面からおすすめできません。風向きとマイクの位置を工夫しましょう。
机の振動にはショックマウントを使う
卓上スタンドを机へ直接置いていると、キーボード操作、マウス操作、机へ手を置いたときの振動がマイクへ伝わることがあります。
ショックマウントは、マイクをゴムなどで浮かせるように保持し、机やアームから伝わる振動を軽減するための機材です。
購入するときは、マイクの直径、重量、取り付けねじに対応しているか確認してください。メーカー純正品が用意されている場合は、適合を判断しやすくなります。
ポップノイズと息の音を減らす方法
「パ」「バ」などを発音したときに「ボフッ」という低い音が入る現象を、ポップノイズと呼びます。
マイクの故障ではなく、口から出た強い空気が振動板へ当たることで発生します。
口の真正面から少しずらす
最初に試したいのは、マイクを口の真正面から少し左右または下へずらす方法です。
声はマイクへ届かせながら、息だけがマイクの横を通る位置を探します。
距離を大きく離すより、適切な距離を保ったまま少し角度を変えた方が、声の明瞭さを保ちやすくなります。
ポップガードを設置する
位置を調整してもポップノイズが残る場合は、口とマイクの間へポップガードを設置します。
ポップガードには、主に次の種類があります。
- 布を使用した丸型ポップガード
- 金属製ポップガード
- マイクへ直接取り付ける小型タイプ
大きな丸型は効果を得やすい一方、カメラから見た顔を隠す可能性があります。VTuberのフェイストラッキング環境では、小型タイプや設置角度も比較しましょう。
ウインドスクリーンを使用する
マイクへかぶせるスポンジ状のウインドスクリーンも、息や風のノイズを軽減するのに役立ちます。
製品の厚さによっては、高音域の聞こえ方が変わる場合があります。装着前後で同じ文章を録音し、声がこもっていないか確認してください。
マイクアームは口元との距離を一定にしやすい
マイクアームは、マイクを高価に見せるための機材ではなく、口元との距離と角度を毎回同じ状態へ戻しやすくする道具です。
卓上スタンドでは口元まで遠くなる場合や、配信のたびにマイク位置が変わる場合に役立ちます。
- 使用時だけ口元へ引き寄せられる
- 配信終了後は机の端へ戻せる
- キーボードを置くスペースを確保しやすい
- 口元との距離を一定に保ちやすい
- 机に伝わる振動を減らせる場合がある
通常の上から伸ばすアームが画面を遮る場合は、モニター下や肩のラインより低い位置を通せるロープロファイル型も候補になります。
配信前にマイクの適切な位置を見つける方法
マイク位置は見た目だけで決めず、実際に録音して判断します。
同じ文章を距離別に録音する
次のように距離を変えながら、同じ文章を録音します。
- 5cm
- 10cm
- 15cm
- 20cm
定規をマイクへぶつけないよう注意し、だいたいの位置を確認できれば十分です。
録音する文章には、「パ」「バ」「タ」などの破裂音、普通の会話、大きなリアクションを含めます。
普段の声と大きな声の両方を録る
雑談時の声だけでゲインを合わせると、ゲーム中に驚いたときや笑ったときに音が割れる場合があります。
普段の声、少し小さい声、大きなリアクションの3種類を録音し、すべてが聞き取りやすい位置を探します。
スピーカーではなくヘッドホンで確認する
小さなノイズ、息の音、部屋の反響は、スピーカーでは気づきにくいことがあります。
録音後はヘッドホンで確認し、次の項目を比較します。
- 声が明瞭か
- 低音が強すぎないか
- 息の音が入っていないか
- キーボード音が声より目立たないか
- PCファンやエアコンの音が入っていないか
- 大きな声で音割れしていないか
配信画面とフェイストラッキングも同時に確認する
音声だけでなく、VTuberモデルの目、口、顔の向きが正常に動くか確認します。
音質がよくても、マイクやポップガードで顔を隠してトラッキングが不安定になっては配信しにくくなります。
普段の配信姿勢で、音質とトラッキングの両方を確認してください。
OBSのノイズ抑制はマイク位置を直してから使う
OBSにはノイズ抑制、ノイズゲート、コンプレッサー、リミッターなどの音声フィルターがあります。
便利な機能ですが、マイクが遠すぎる状態や、収音面が口へ向いていない状態を完全に補えるものではありません。
音質を改善するときは、次の順番がおすすめです。
- マイクの正しい収音面を確認する
- 口元との距離を調整する
- 息が直接当たらない角度へ動かす
- ゲインを調整する
- PC・キーボード・エアコンとの位置関係を見直す
- ポップガードやショックマウントを追加する
- 最後にOBSのフィルターを調整する
複数の設定を一度に変えると、何が音質改善につながったのか分からなくなります。一項目ずつ変更し、短く試し録りしましょう。
よくある質問
VTuberのマイクは口元の真正面に置くべきですか?
マイクの収音面は口へ向けますが、息が振動板へ直接当たらないよう、真正面から少し左右または下へずらす方法があります。角度をつけすぎると音質が変わるため、少しずつ調整してください。
ダイナミックマイクは何cm離せばよいですか?
最初は口元から5~15cm程度を目安に試します。製品によって推奨距離が異なるため、取扱説明書も確認してください。低音が強すぎる場合や息の音が入る場合は、少し離して調整します。
コンデンサーマイクは何cm離せばよいですか?
最初は10~20cm程度を目安に試します。部屋の反響や生活音が目立つ場合は、少し近づけてゲインを下げた状態も録音して比較しましょう。
マイクを遠くへ置いてもゲインを上げれば同じですか?
同じではありません。マイクを遠くへ置いてゲインを上げると、声だけでなく部屋の反響、PCファン、エアコンなども大きくなりやすくなります。まず口元との距離を整えてからゲインを調整してください。
マイクでカメラのトラッキングが悪くなることはありますか?
マイクやポップガードが顔の大部分を隠すと、使用するカメラやトラッキング方法によっては認識に影響する可能性があります。口元の斜め下や横から配置し、実際にモデルの動きを確認してください。
ポップガードとウインドスクリーンは両方必要ですか?
必ずしも両方必要ではありません。最初にマイクの位置と角度を調整し、それでも息や破裂音が目立つ場合に追加します。装着後は声がこもっていないか試し録りしてください。
マイクアームを使えば音質はよくなりますか?
マイクアーム自体が音質を変えるわけではありません。ただし、マイクを口元へ近づけ、毎回同じ距離と角度に固定しやすくなるため、結果として安定した音声を録りやすくなります。
まとめ|マイクを買い替える前に距離と向きを見直そう
VTuberの配信用マイクは、次の距離から調整を始めると分かりやすくなります。
- ダイナミックマイク:口元から5~15cm
- コンデンサーマイク:口元から10~20cm
- ヘッドセット:メーカー指定の装着位置
ただし、距離だけでなく、マイクの収音面、角度、ゲイン、ノイズ源との位置関係も重要です。
遠くへ置いたマイクのゲインを上げる前に、口元へ適切に近づけられないか確認してください。ポップノイズが入る場合は、距離を大きく離すだけでなく、マイクを少し横へずらしたり、ポップガードを使用したりする方法があります。
最後は必ず、普段の声、大きな声、キーボードを操作した状態を試し録りし、自分の声と配信環境に合う位置を決めましょう。
参考文献・参考URL
- RØDE|How to Position Your Microphone for Streaming
- Shure|MV7 User Guide
- Shure|SM7B User Guide
- Shure|Six Keys to Better Audio for Home Recording and Podcasting
- Shure|Choosing a Microphone for Podcasting
- AVerMedia|AM330マイク設置ガイド
マイクの推奨距離や収音面は製品によって異なります。使用する製品の取扱説明書とメーカー公式情報もご確認ください。