声優の給料はいくら?ギャラの仕組み・ランク制・新人の収入を解説

「声優はアニメ1本に出演すると、いくらもらえる?」

「新人声優でも、事務所へ所属すれば毎月給料が出るの?」

「有名なアニメで主役を演じれば、すぐに生活できる?」

声優の収入について調べると、「新人は1本1万5,000円」「最高ランクは4万5,000円」「売れっ子なら年収数千万円」など、さまざまな数字が見つかります。

しかし、これらの数字だけを見て、声優の月収や手取りを計算することはできません。

声優の多くは会社員のような固定給ではなく、出演した仕事ごとにギャラを受け取る働き方だからです。

さらに、仕事の種類によって報酬の決まり方が異なります。

  • アニメーション
  • 外国映画・海外ドラマの吹き替え
  • ゲーム
  • テレビ・Web・企業動画のナレーション
  • CM
  • ラジオ
  • オーディオブック
  • イベント・ライブ
  • 歌唱・キャラクターソング
  • 配信・番組出演
  • 養成所や専門学校の講師

そのため、「声優の給料はいくら?」という疑問へ、一つの平均額だけで答えるのは困難です。

この記事の結論

  • 声優の多くは固定給ではなく、仕事ごとにギャラを受け取る
  • 事務所へ所属していても、雇用契約とは限らない
  • ランク制は主にアニメ・外国作品の吹き替えに関する出演条件
  • ゲームやナレーションなどは、別の条件で報酬が決まることがある
  • 日俳連公式では、声優の新人期間は基本5年と説明されている
  • ネット上の1万5,000~4万5,000円は、基本ランクの目安として紹介されてきた数字
  • 基本ランクの金額が、そのまま本人の手取りになるわけではない
  • 出演本数が少なければ、声優活動だけで生活するのは難しい
  • 有名作品へ出演しても、毎月の仕事が保証されるとは限らない
  • 年収はアニメ以外の仕事、出演本数、契約、知名度によって大きく変わる

この記事では、声優の給料とギャラの違い、ランク制、新人の収入、仕事別の報酬、事務所に所属した場合の手取りまで、確認できる公式情報を基に解説します。

声優は事務所から毎月給料をもらうの?

声優事務所へ所属すると、会社員のように毎月決まった給料が支払われると考える人もいるでしょう。

しかし、声優事務所への所属は、一般企業への就職と同じとは限りません。

多くの場合、声優と事務所は雇用契約ではなく、マネジメント契約やエージェントに近い契約を結びます。

事務所は、声優本人に代わって次のような業務を行います。

  • オーディションや仕事の紹介
  • 制作会社やクライアントとの連絡
  • 出演条件・スケジュールの調整
  • 宣材写真やボイスサンプルの管理
  • 出演料の請求・受け取り
  • トラブルや契約に関する対応
  • 活動方針の相談

仕事が決まれば出演料が発生しますが、仕事がない月まで固定給が保証されるとは限りません。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」も、声優は仕事ごとに報酬を受け取る自営業型の働き方がほとんどで、固定した収入が保証されるものではないと説明しています。


参考:

声優|職業情報提供サイト job tag

「給料」「ギャラ」「売上」「手取り」は違う

声優の収入を調べるときは、言葉の違いにも注意が必要です。

言葉 この記事での意味
給料 一般には雇用主から定期的に支払われる給与。声優では日常的に「収入」の意味で使われることもある
ギャラ・出演料 作品や番組、イベントなど、個別の仕事に対して発生する報酬
売上・総報酬 事務所手数料、税金、経費などを差し引く前の金額
所得 一般に、収入から仕事に必要な経費を差し引いた金額
手取り 事務所との契約に基づく控除や源泉徴収などを経て、本人が受け取る金額

例えば、「アニメ1本のギャラが3万円」と説明されていても、3万円がそのまま本人の銀行口座へ残るとは限りません。

事務所との契約、税金、交通費、レッスン費、宣材費などを考える必要があります。

声優の年収は出演した仕事の合計で決まる

声優の年間収入は、基本的に一年間で受けた仕事の報酬を合計して考えます。

単純化すると、次のような形です。

声優の年間売上 = アニメ+吹き替え+ゲーム+ナレーション+イベント+音楽+配信+その他の報酬

アニメへの出演本数が少なくても、ナレーションやゲームの仕事が多ければ、年間収入が高くなる場合があります。

反対に、有名作品で主要キャラクターを担当しても、その作品以外の仕事が少なければ、年間を通じて安定した収入になるとは限りません。

声優のランク制とは?

声優の収入を調べると、頻繁に出てくるのが「ランク制」です。

日本俳優連合の公式説明によると、外国映画の吹き替えやアニメーションなどの音声出演では、「外画動画出演実務運用表」に基づく出演条件が設けられています。

日俳連へ加入し、外画動画ランクを取得した声優は、音声制作会社のプロデューサーやディレクターがキャスティングに使う出演料表へ掲載されます。

ランク制には、出演者の立場が弱いことを理由に、極端に安い条件で出演させられることを防ぐ意味があります。

日俳連も、ランク制は声優の出演料を低く抑えるためではなく、最低限の出演料や二次使用料などのルールを定める制度だと説明しています。


参考:

日本俳優連合|加入案内



日本俳優連合へ9つの質問

ランク制は声優のすべての仕事に適用されるわけではない

ここは、声優の給料を調べる際に特に誤解しやすい点です。

アニメのランク制を、ゲーム、ナレーション、CM、イベントなど、すべての声優業へそのまま当てはめることはできません。

日本俳優連合の公式記事では、外画・動画作品については関係団体とのルールがある一方、次の仕事は各事務所・プロダクションへ任されていると説明されています。

  • ナレーション
  • ゲーム
  • ボイスオーバー
  • ラジオドラマ

これらの仕事では、収録時間、台本量、使用範囲、媒体、企業規模、知名度、拘束時間などによって、個別に出演料が決まる場合があります。

仕事 報酬の考え方 注意点
アニメ 外画動画の出演条件・ランクを基に計算される場合がある 個別契約や非加盟案件など、すべてが同一条件とは限らない
海外作品の吹き替え 外画動画の出演条件が関係する場合がある 作品の長さや利用目的も関係する
ゲーム 台本量、収録量、契約、使用範囲などで個別に決まる場合がある アニメ1本のランクをそのまま当てはめない
ナレーション・CM 媒体、使用期間、地域、企業、拘束時間などで交渉される場合がある 公開範囲や二次利用の確認が重要
イベント 出演時間、拘束時間、会場、集客力などで個別に決まる 交通・宿泊・リハーサル条件も確認する


参考:

居酒屋日俳連|出演料と音声出演のルール

ランク制では何を基に出演料が決まる?

日本俳優連合の公式説明では、外国作品・動画作品の出演料は、次の3要素で決まります。

  1. 基本ランク
  2. 作品の長さ
  3. 目的別利用料率

出演料の考え方 = 基本ランク × 作品の長さに応じた条件 × 利用目的に応じた条件

ここでいう利用目的とは、テレビ放送、劇場公開、映像商品、配信など、その音声がどのような形で使われるかという考え方です。

作品が別の媒体で使用される場合には、二次使用・目的外使用に関する報酬が発生することもあります。

ただし、現在の詳細な運用表や個人ごとの出演ランクは、一般視聴者向けにすべて公開されている資料ではありません。

主役と一言だけの役ではギャラが同じ?

ランク制について、「主役で大量に話しても、一言だけ出演しても同じ金額なの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

日俳連が公表している出演料の3要素には、セリフの文字数や役の重要度は直接含まれていません。

そのため、同じ作品枠・同じ契約条件であれば、単純にセリフが多いから基本ランクが何倍にもなる仕組みではないと考えられます。

ただし、次のような場合は条件が異なる可能性があります。

  • 個別に出演条件を交渉している
  • 通常のランク表とは異なる契約である
  • 複数役・別収録・追加収録がある
  • アニメ以外の関連番組やイベントにも出演する
  • 歌唱、宣伝、配信など別の業務が含まれる

「主役だから必ず一話数十万円」「一言だけなら数百円」といった単純な計算はできません。

ネットで見る「1万5,000~4万5,000円」とは?

声優のギャラについて、多くの養成機関や業界解説記事では、30分作品の基本ランクについて、1万5,000円から4万5,000円程度という説明が使われてきました。

また、その範囲を超える実績のある出演者については、個別交渉になるという説明もあります。

ただし、ここで注意したいのは、次の点です。

  • 日俳連の現在の個人別ランク表は一般公開されていない
  • 基本ランクだけで最終的な出演料を判断できない
  • 過去の記事と現在の運用が同じとは限らない
  • 新人期間に関しては、現在の日俳連公式説明では基本5年とされている
  • 消費税、利用料率、二次使用、契約条件などが関係する
  • 事務所や仕事の種類によって本人の受取額が異なる

「アニメ1本1万5,000円」という数字だけを、現在の全新人声優の最終的なギャラや手取りとして断定しないことが大切です。

新人声優の「ジュニア」とは?

声優業界で使われる「ジュニア」「新人」とは、主に外国映画の吹き替えやアニメーションの仕事を始めたばかりの出演者を指します。

日本俳優連合は、関係3団体との約束により、声優の新人期間を基本5年に設定していると説明しています。

新人期間中は日俳連の組合員ではありませんが、途中で新人を終了して加入することや、最初から新人扱いを選ばず加入することも可能とされています。

ネット上では「新人期間は3年」という説明も多く見つかりますが、現在の記事を作る場合は、日俳連が2023年に公表した「基本5年」という説明を優先するのが安全です。

ただし、個々の事務所で使われる「ジュニア所属」「準所属」「預かり所属」などの名称は、日俳連の新人期間と同じ意味とは限りません。

言葉 主な意味
日俳連の新人・ジュニア 外画・アニメーションの仕事を始めた人に関する業界上の新人期間
事務所のジュニア所属 事務所が独自に定める所属区分。条件は事務所ごとに異なる
預かり所属 正式所属前の育成・審査期間などを示す場合があるが、統一された定義はない
新人声優 一般には活動歴や出演実績が少ない声優を指すが、明確な全国共通基準はない


参考:

日本俳優連合へ9つの質問|新人期間について


出演料と本人の手取りが違う理由

作品の出演料が分かっても、その金額を本人がすべて自由に使えるわけではありません。

事務所に所属している場合は、事務所との契約に基づいて、マネジメントに関する金額が差し引かれることがあります。

さらに、仕事の報酬から源泉徴収が行われる場合もあります。

本人が負担する可能性がある主な費用には、次のようなものがあります。

  • 事務所との契約に基づくマネジメント料
  • 所得税の源泉徴収
  • 収録スタジオまでの交通費
  • ボイスサンプル制作費
  • 宣材写真の撮影費
  • レッスン・ワークショップ代
  • 衣装・メイク・美容に関する費用
  • 自宅録音用の機材・防音費
  • 確定申告後に納める税金や社会保険料

どこまで事務所が負担し、どこから本人が負担するかは、契約や仕事によって異なります。

そのため、「出演料3万円=手取り3万円」とは限りません。

事務所の取り分は何%?

声優事務所のマネジメント料について、ネット上では特定の割合が書かれていることがあります。

しかし、所属契約の内容は事務所や出演者によって異なり、すべての事務所に共通する固定割合は公表されていません。

確認する必要があるのは、次の点です。

  • 出演料の何を基準に控除するか
  • 消費税を含む金額から計算するか
  • 仕事の種類によって割合が異なるか
  • 交通費や宣材費が別途差し引かれるか
  • 報酬の支払い時期
  • 明細を確認できるか
  • 退所後の二次使用料をどのように扱うか

公正取引委員会は、実演家と芸能事務所との契約について、業務内容や報酬額の算出方法などを明確にし、書面で契約することの重要性を示しています。


参考:

公正取引委員会|実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査

アニメのレギュラーが決まれば生活できる?

アニメのレギュラーが決まることは、新人声優にとって大きな実績になります。

しかし、1クールの作品へ出演しただけで、一年間生活できる収入になるとは限りません。

仮に、説明を簡単にするため、1話あたりの基本となる金額を1万5,000円、全12話に出演したとします。

1万5,000円 × 12話 = 18万円

これは、あくまで基本金額だけを単純に掛けた例です。

実際には、出演条件、利用料率、消費税、追加収録、二次使用、事務所との契約などによって変わります。

一方で、ここから事務所との契約に基づく控除や税金、交通費などが発生する可能性もあります。

つまり、「人気アニメへ1クール出演した」という実績と、「一年間安定して生活できる収入がある」という状態は別です。

主役になっても仕事が一年間続くとは限らない

アニメ作品の主役に選ばれても、その作品が終了すれば収録も終了します。

続編、ゲーム、イベント、ラジオ、音楽活動などへつながることはありますが、必ず追加の仕事が発生するわけではありません。

声優の収入を安定させるには、次のような仕事が継続して入る必要があります。

  • 複数作品のレギュラー
  • 長期間続く吹き替え作品
  • ゲームの追加収録
  • 番組・CMのナレーション
  • ラジオや配信番組
  • 作品イベント
  • 歌手・ライブ活動
  • 講師・ワークショップ

一つの代表作が、知名度や次のオーディションへつながることはあります。

ただし、代表作があることと、毎月一定の収入が保証されることは同じではありません。

声優の平均年収はいくら?

声優の平均年収として、さまざまな金額を掲載しているサイトがあります。

しかし、日本全国の声優だけを対象にし、専業・副業、活動年数、仕事の種類、所属形態までそろえた公的な平均年収統計は確認しにくいのが現状です。

声優の平均年収を出しにくい理由には、次のものがあります。

  • 個人事業・フリーランス型の働き方が多い
  • 声優以外の仕事を兼業している人がいる
  • アニメ、ゲーム、ナレーションなど仕事の種類が広い
  • 新人と有名声優の収入差が非常に大きい
  • 事務所との契約内容が公開されていない
  • 声優活動だけの収入を分離しにくい
  • 収入のない月や年もあり得る

厚生労働省の「job tag」も、声優は仕事量と単価による収入差が大きく、継続したシリーズやレギュラーで安定した収入を得ている人は少ないと説明しています。

そのため、「声優の平均年収は〇万円」と一つの数字で断定するより、活動段階と仕事の内訳を分けて考える必要があります。

新人声優はアルバイトをする人も多い

新人期間は、オーディションを受けても必ず仕事が決まるわけではありません。

仕事が決まっても、毎週収録があるとは限らないため、生活費を補うためにアルバイトや別の仕事をする人もいます。

副業を選ぶ際には、次の条件が重要です。

  • オーディションや急な収録へ対応しやすい
  • 喉を酷使しすぎない
  • 夜遅くなりすぎず、体調管理ができる
  • 収録スタジオへ移動しやすい
  • 事務所の活動規約に反しない
  • SNSや個人情報のトラブルが起きにくい

アルバイトをしているから声優として失敗している、とは限りません。

収入が安定するまで生活を維持しながら、レッスンとオーディションを続けるための選択でもあります。

声優の収入に大きな差が出る理由

声優の年間収入には、次の要素が影響します。

要素 収入への影響
出演本数 仕事が多いほど年間売上は増えやすい
仕事の種類 アニメだけでなく、ゲーム・ナレーション・イベントなどで単価と条件が異なる
出演条件 ランク、個別交渉、使用範囲などによって変わる
知名度・実績 指名やイベント、広告などの仕事へつながる場合がある
継続案件 長期番組・シリーズ・定期ナレーションは安定につながりやすい
事務所との契約 マネジメント条件や経費負担によって本人の手取りが変わる
兼業 舞台、歌手、講師、配信など、声優以外の活動が収入へ加わる

有名声優の推定年収ランキングは信頼できる?

インターネット上には、有名声優の年収をランキング形式で紹介する記事があります。

しかし、本人や事務所が収入を公表していない場合、出演本数だけから年収を正確に計算することはできません。

外部からは、次の情報を把握できないからです。

  • 個別の出演料
  • 事務所との契約内容
  • ゲーム・CM・イベントの報酬
  • 音楽活動の印税や契約
  • 二次使用料
  • 講師・配信など非公開の仕事
  • 必要経費と税金

したがって、「〇〇さんの年収は5,000万円」「この出演本数なら1億円」などの数字は、本人の公表がない限り推測として扱う必要があります。

ここまでのまとめ

声優の多くは、会社員のように毎月同じ給料を受け取るのではなく、作品や番組ごとにギャラを受け取ります。

ここまでのポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 声優事務所への所属は、一般企業への就職と同じとは限らない
  • 仕事がない月には、声優としての報酬が発生しない場合がある
  • 給料・出演料・売上・所得・手取りを分けて考える
  • 年間収入は複数の仕事の報酬を合計して決まる
  • ランク制は主に外画・アニメーションの出演条件に関する制度
  • ナレーションやゲームなどは、別の条件で報酬が決まる場合がある
  • ランク制では基本ランク・作品の長さ・利用目的が関係する
  • セリフの量だけで出演料が単純に決まるわけではない
  • 現在の日俳連公式説明では、新人期間は基本5年
  • ネット上の1万5,000~4万5,000円は慎重に扱う
  • 出演料から事務所との契約に基づく控除や税金が発生する場合がある
  • アニメ1クールへ出演しても、一年間の生活費になるとは限らない
  • 声優だけを対象にした信頼できる平均年収は確認しにくい
  • 新人期間は副業やアルバイトで生活を支える人もいる
  • 有名声優の年収は、本人の公表がない限り正確に推定できない

次の項では、アニメ、海外作品の吹き替え、ゲーム、ナレーション、CM、ラジオ、イベント、音楽、配信など、仕事別にギャラの決まり方を解説します。

声優のギャラは仕事の種類によって決まり方が違う

声優の収入を考えるときは、「声を使う仕事はすべて同じ料金表で計算される」と考えないことが重要です。

第1回で解説したランク制は、主にアニメーションや外国作品の日本語吹き替えに関する出演条件です。

一方、ゲーム、ナレーション、CM、イベント、音楽、配信などは、次のような条件を基に個別に決まる場合があります。

  • 収録するセリフ・原稿の量
  • 収録に必要な時間
  • 作品や広告を使用する媒体
  • 使用期間
  • 使用する地域・国
  • テレビ・Web・店頭などの公開範囲
  • 追加収録・修正収録の条件
  • 出演者の実績・知名度
  • 事務所と発注者の交渉
  • 競合する企業・商品の仕事を制限するか

同じ声優が同じ時間だけ収録しても、アニメ、ゲーム、全国放送のCM、社内研修動画では報酬が異なる可能性があります。

声優の仕事別ギャラ一覧

仕事 主な決まり方 収入上の特徴 注意点
テレビアニメ 基本ランク、作品時間、利用条件など レギュラーなら複数話の報酬になる セリフ量だけで単純に決まるとは限らない
外国作品の吹き替え ランク、作品時間、放送・配信などの用途 シリーズなら継続収録になる場合がある 映画・ドラマ・配信作品で条件が異なる
ゲーム セリフ量、収録量、拘束時間、契約条件 大量の音声をまとめて収録する場合がある アニメのランクをそのまま当てはめない
ナレーション 媒体、使用期間、地域、原稿量、知名度 定期案件は収入の安定につながる場合がある Web広告・社内用・全国CMで条件が大きく違う
ラジオ・音声番組 出演回数、番組規模、役割、スポンサー レギュラー化すれば継続収入になる 宣伝出演やゲスト出演など条件が異なる
イベント 出演時間、拘束時間、規模、集客力 作品人気や本人の知名度が影響する場合がある リハーサル・移動・宿泊の条件も確認する
キャラクターソング 歌唱収録料、契約、権利処理など 収録料以外の分配が発生する場合もある 作詞・作曲印税とは別に考える
配信・動画出演 出演料、広告収益、投げ銭、契約条件 本人の発信力が収益へ影響することがある 事務所・プラットフォームとの分配条件がある

この表は全体像を理解するための整理です。

実際の契約では、複数の条件を組み合わせて報酬が決まります。

テレビアニメのギャラは1話単位?

テレビアニメでは、一般に作品の各話への出演を単位として報酬が発生するケースがあります。

例えば、全12話の作品であっても、担当キャラクターが出演しない回には、出演料が発生しない可能性があります。

反対に、毎話登場する主要キャラクターであれば、複数話分の報酬が積み重なります。

ただし、アニメのギャラは、単純に次の計算だけで確定するわけではありません。

1話の基本金額 × 出演話数

作品の長さ、利用条件、消費税、二次使用、追加収録などが関係する可能性があるためです。

アニメの収入を考える仮定例

制度を理解するため、仮に1話の基本となる金額を1万5,000円として計算します。

出演話数 単純計算の例
1話 1万5,000円
3話 4万5,000円
6話 9万円
12話 18万円

この数字は、実際の出演契約や手取りを示すものではありません。

基本金額だけを使った仮定であり、事務所との契約に基づく控除や税金、交通費なども含んでいません。

セリフが一言でも1話分のギャラになる?

ランク制の説明では、役の重要度やセリフの文字数だけで出演料が決まるとはされていません。

そのため、同じ作品・同じ出演条件であれば、セリフが少ない役でも、作品へ音声出演したことを基に報酬が決まる場合があります。

ただし、次のような場合は条件が異なる可能性があります。

  • 複数の役を演じる
  • 別の日に追加収録する
  • 本編とは別の映像へ出演する
  • 歌唱やナレーションも担当する
  • 個別契約を結んでいる

「一言なら数百円」「主役なら必ず何十万円」という計算はできません。

アニメ主役でもギャラだけで生活できるとは限らない

主役は出演話数が多く、作品関連のイベントや番組へ呼ばれる可能性もあります。

しかし、主役を一作品担当しただけで、年間を通じた生活費が保証されるわけではありません。

テレビアニメの収録は、作品の放送期間や制作期間に合わせて終了します。

その後に別の仕事が決まらなければ、声優としての月収が減る可能性があります。

主役を務める価値は、出演料だけでなく、次の仕事へつながる実績や知名度にもあります。

  • 別作品のオーディション
  • ゲーム版・続編への出演
  • 作品イベント
  • ラジオ・配信番組
  • キャラクターソング
  • 雑誌・動画などの取材

ただし、関連展開への出演には、それぞれ別の契約や報酬条件が設定されるのが基本です。

再放送・配信で声優にも毎回ギャラが入る?

アニメや吹き替え作品が再放送・別媒体で利用されたとき、出演条件に基づく二次使用料や目的外使用料が関係する場合があります。

日本俳優連合は、音声出演作品の二次利用条件を含むルール作りや、使用料の徴収・分配に取り組んでいます。

ただし、視聴者が配信サービスで1回再生するたびに、担当声優へ一定額が直接振り込まれるという単純な仕組みではありません。

次の条件によって扱いが変わります。

  • 最初の出演契約
  • 作品が利用される媒体
  • 利用された時期
  • 団体協約・運用表の対象か
  • 所属事務所や権利者団体を通じた分配か
  • 買い切りを含む別の契約か


参考:

日本俳優連合|活動内容

劇場版アニメやOVAの報酬はテレビアニメと同じ?

劇場版アニメ、OVA、配信用作品などは、テレビアニメと公開形式や作品時間が異なります。

そのため、テレビアニメ30分枠の基本金額を、そのまま当てはめて報酬を推定することはできません。

確認する必要があるのは、次の条件です。

  • 作品の長さ
  • 劇場・テレビ・配信などの利用目的
  • 国内だけか、海外展開も含むか
  • 後日の映像商品化
  • 追加収録・予告・宣伝映像への出演

外国映画・海外ドラマの吹き替えのギャラ

外国映画や海外ドラマの日本語吹き替えも、外画動画ランクや作品の長さ、利用目的などを基に出演条件が決まる分野です。

海外ドラマのシリーズで主要人物を担当した場合は、複数話へ継続して出演する可能性があります。

ただし、海外作品には次のような公開形態があります。

  • テレビ放送
  • 劇場公開
  • DVD・Blu-ray
  • 動画配信サービス
  • 機内上映
  • 放送版・ソフト版など異なる吹き替え

作品がどの目的で制作・利用されるかによって、契約条件が異なる可能性があります。

同じ映画に複数の吹き替え版がある理由

古い外国映画では、テレビ局、映像商品、配信サービスなどで別々の吹き替え版が制作されている場合があります。

異なる吹き替え版は、それぞれ別の制作・収録であるため、出演者や報酬条件も別に扱われます。

吹き替えはアニメより収録時間が長い?

吹き替えでは、映像内の俳優の口の動き、息、動作、感情へ合わせてセリフを収録します。

担当する役や作品の長さによって、拘束時間が長くなる場合があります。

ただし、収録時間が長いからといって、単純な時給で出演料が計算されるとは限りません。

作品への出演条件として報酬が決まり、必要に応じて追加収録などの条件が確認されます。

ゲーム声優のギャラはセリフ量で決まる?

ゲーム音声の報酬は、アニメと同じ1話単位ではなく、台本量、ワード数、収録量、拘束時間などを基に決まる場合があります。

ゲームには、次のように多くの音声が必要です。

  • 本編ストーリー
  • 戦闘中の短いボイス
  • メニュー画面の案内
  • 季節・誕生日などの限定セリフ
  • プレイヤー名を呼ぶ音声
  • ダメージ・攻撃・呼吸などの掛け声
  • 追加イベント・アップデート音声

一人のキャラクターでも、アニメ数話分を超える量のセリフをまとめて収録する場合があります。

そのため、ゲームの報酬を「アニメ1本と同じ」と考えることはできません。

ゲームは1ワードいくら?

ゲーム声優のギャラについて、「1ワード〇円」「1文字〇円」という説明を見かけることがあります。

しかし、全国のゲーム収録へ一律に適用される公式の公開単価は確認できません。

実際には、次のような方法で見積もられる可能性があります。

  • 文字数・ワード数
  • 台本のページ数
  • 収録時間・拘束時間
  • 一回の収録に対する固定額
  • キャラクター単位の契約
  • 複数回の追加収録を含む契約

事務所所属者とフリーランス、商業作品と小規模作品でも条件は異なります。

ネット上の単価を使って、有名ゲームの出演料を断定することはできません。

ゲームの追加収録では別のギャラが出る?

スマートフォンゲームやオンラインゲームでは、配信開始後にも音声が追加されることがあります。

  • 新しいストーリー
  • 季節イベント
  • 新衣装・別バージョン
  • コラボ企画
  • 周年記念
  • 新しい戦闘ボイス

追加収録が別の発注として扱われる場合は、追加の報酬が発生します。

一方、最初の契約に一定範囲の追加対応が含まれている場合も考えられるため、契約内容の確認が必要です。

掛け声だけのゲーム収録でも声への負担が大きい

ゲームでは、「はっ」「やあっ」「うっ」などの短い掛け声を大量に収録する場合があります。

一つひとつは短くても、戦闘音声やダメージ音声を繰り返すと、喉や身体への負担が大きくなることがあります。

報酬だけでなく、次の条件も確認したいところです。

  • 叫び声の量
  • 連続して収録する時間
  • 休憩の有無
  • 別日に分けられるか
  • 後日の追加収録

ナレーションのギャラはアニメより高い?

ナレーションは、案件によってアニメより高い出演料になると紹介されることがあります。

しかし、ナレーションにも幅広い種類があり、一律に高いとはいえません。

  • 全国放送のテレビCM
  • テレビ番組
  • Web広告
  • 企業の紹介動画
  • 店頭・館内放送
  • 社内研修動画
  • 教材・教育コンテンツ
  • 商品説明・操作案内
  • 観光施設・博物館の音声案内

数分の社内用動画と、全国で長期間流れるテレビCMでは、音声の価値や使用範囲が異なります。

そのため、原稿を読む時間だけでなく、どこで、どのくらいの期間使われるかが重要です。

ナレーションのギャラを左右する条件

条件 確認する内容
媒体 テレビ、ラジオ、Web、店頭、社内など
使用期間 1か月、1年間、期限なしなど
使用地域 地域限定、全国、海外を含むか
原稿量 秒数、分数、文字数、ページ数
競合 同業他社の商品へ出演できなくなるか
修正 原稿変更や再収録を何回含むか
買い切り 利用期間や媒体を限定せず使える条件か

短い原稿でも、広い範囲で長期間使用される広告なら、使用条件を含めた交渉が必要です。

「買い切り」のナレーションとは?

音声案件で使われる「買い切り」は、追加の使用料を支払わず、契約で定めた範囲内で継続利用できる条件を指す場合があります。

ただし、「買い切り」と書かれているだけでは、具体的な範囲が分かりません。

  • 使用期間は無期限か
  • テレビ・Web・SNSのすべてで使えるか
  • 国内だけか海外も含むか
  • 音声を編集・再構成できるか
  • 別の商品や別作品へ転用できるか
  • AI学習・音声合成に使用できるか

特に現在は、録音した声を将来の音声合成や別用途へ利用する条件にも注意が必要です。

用途が広い契約ほど、報酬だけでなく使用範囲を書面で確認しましょう。

テレビCM・Web広告の声優ギャラ

広告ナレーションでは、収録時間が短くても、多くの人へ繰り返し届けられる可能性があります。

そのため、原稿量だけでなく、広告の使用条件が報酬へ影響します。

  • テレビCMかWeb広告か
  • 全国放送か地域限定か
  • 広告を流す期間
  • SNS広告への転用
  • 企業公式サイトでの掲載
  • 競合他社の広告へ出演できるか

有名声優を広告の話題性も含めて起用する場合と、匿名のナレーターとして起用する場合でも、契約条件は異なると考えられます。

ラジオ・音声番組のギャラ

声優が出演するラジオや音声番組には、次の形があります。

  • 地上波ラジオ
  • インターネットラジオ
  • 作品公式番組
  • ポッドキャスト
  • 企業提供番組
  • ファンクラブ限定音声

報酬は、レギュラー出演、ゲスト出演、宣伝目的の出演などによって異なります。

作品の宣伝番組では、本編出演に関連するプロモーション活動として扱われる場合もあるため、必ず独立した高額ギャラが発生するとは限りません。

レギュラー番組は収入の安定につながる?

毎週・毎月のレギュラー番組になれば、一定期間、継続して出演料を受け取れる可能性があります。

ただし、番組の改編・終了、作品展開の終了などにより、収入が途切れることもあります。

オーディオブックのギャラ

オーディオブックでは、書籍一冊分の長い文章を収録します。

報酬条件を考える際は、次の要素が関係します。

  • 完成音声の長さ
  • 原稿の文字数
  • 収録日数
  • 一人で全編を朗読するか
  • 複数の役を演じ分けるか
  • 修正収録の範囲
  • 配信地域・配信期間
  • 販売数に連動した契約か

完成音声が10時間の作品でも、収録、確認、修正にはそれ以上の時間が必要です。

単純なスタジオ滞在時間だけでなく、長時間の朗読を安定して続ける技術が求められます。

イベント出演のギャラ

アニメやゲームの人気が高まると、声優が次のようなイベントへ出演する場合があります。

  • 作品の先行上映会
  • トークイベント
  • ファンミーティング
  • ゲームの発表会
  • 舞台あいさつ
  • ライブ・コンサート
  • オンラインイベント

イベント出演料は、アニメ本編のランク制とは別に決まるのが基本です。

主な条件は次のとおりです。

  • 本番時間
  • リハーサル時間
  • 会場までの移動
  • 前泊・宿泊の有無
  • 衣装・ヘアメイク
  • 歌唱・朗読・ゲーム企画などの内容
  • 会場規模と配信の有無
  • 本人の知名度・集客力

イベントのチケット売上は声優に入る?

大きな会場が満員になっても、チケット売上がそのまま出演声優へ分配されるとは限りません。

イベントの売上からは、次のような費用が必要です。

  • 会場費
  • 音響・照明・映像設備
  • スタッフ人件費
  • 出演料
  • 交通・宿泊費
  • 広告・宣伝費
  • 配信設備・チケット手数料

声優が定額の出演料を受け取る契約なら、チケットが何枚売れても本人の報酬は同じ可能性があります。

売上や利益に連動する契約がある場合だけ、動員数が直接報酬へ反映されます。

ライブ・コンサート出演のギャラ

声優アーティストやキャラクター名義のライブでは、通常のトークイベントより準備が増えることがあります。

  • 歌唱練習
  • ダンス練習
  • バンドリハーサル
  • 衣装合わせ
  • 会場リハーサル
  • 複数公演・地方公演

本番の出演時間だけでなく、事前練習や拘束日数を含めて条件が決まります。

ただし、作品の宣伝、本人名義の音楽活動、キャラクターライブでは、契約の形が異なる可能性があります。

キャラクターソングのギャラ

声優がキャラクターとして歌唱する場合、まず歌唱収録に対する報酬が考えられます。

さらに、市販・配信された音源の利用について、契約や権利委任の条件によっては、実演家として使用料・報酬の分配を受ける場合があります。

ただし、次の権利は分けて考える必要があります。

立場 主な権利・報酬
作詞家 歌詞を作った著作者としての著作権使用料など
作曲家 楽曲を作った著作者としての著作権使用料など
歌唱した声優 歌唱収録料、契約や権利処理に基づく実演家の報酬など
レコード製作者 原盤の製作・利用に関する権利・収益

歌を歌っただけで、作詞・作曲の印税を受け取れるわけではありません。

声優本人が作詞・作曲も行っている場合は、歌唱とは別に、著作者としての契約が関係します。


参考:

芸団協CPRA|実演家の著作隣接権とは

CD・音楽配信が売れれば声優も大きく稼げる?

CDや音楽配信の売上が大きくても、歌唱した声優へ売上の一定割合が必ず支払われるとは限りません。

次のような契約が考えられます。

  • 収録時に定額の歌唱料を受け取る
  • 売上に連動する報酬がある
  • 一定条件を満たした後に印税・ロイヤリティが発生する
  • 実演家の権利に基づく分配を受ける
  • 本人名義とキャラクター名義で条件が異なる

契約内容が公表されていない限り、CD売上から声優本人の収入を正確に推定することはできません。

配信番組・YouTube出演のギャラ

声優がYouTube、動画配信サービス、SNS番組へ出演する機会も増えています。

収入の形は、大きく次の2つに分けられます。

番組へ出演して出演料を受け取る

  • 企業・作品の公式番組
  • ゲームの情報番組
  • トーク・バラエティ番組
  • 生放送・収録動画

番組制作側から、出演回や拘束時間などに応じた報酬を受け取ります。

自分のチャンネル・配信活動で収益を得る

  • 広告収益
  • 投げ銭
  • メンバーシップ
  • 企業案件
  • グッズ販売

個人チャンネルの場合も、事務所との契約、制作費、スタッフ費用、プラットフォーム手数料などによって本人の手取りが変わります。

配信の再生数だけで声優の収入は分からない

動画の再生数が多くても、次の理由から収入を正確に計算することはできません。

  • 広告が表示されない再生がある
  • 視聴者の地域や動画の種類で広告条件が異なる
  • チャンネルを本人が所有しているとは限らない
  • 事務所や制作会社との分配条件がある
  • 番組出演料だけを受け取っている場合がある

ドラマCD・シチュエーションボイスのギャラ

ドラマCDや音声作品では、台本量、出演人数、収録時間、販売方法などにより条件が決まります。

  • 市販CD
  • ダウンロード音声
  • 店舗特典
  • ゲームや映像商品の付属特典
  • 定額制音声サービス
  • 個人向けボイス商品

販売数に連動する契約か、収録時の定額報酬かによっても、収入の仕組みは異なります。

ボイスオーバーのギャラ

ボイスオーバーとは、ドキュメンタリー、ニュース、情報番組などで、外国語の発言内容を日本語で伝える音声表現です。

外国映画の吹き替えと似ていますが、元の話者の声を小さく残しながら日本語音声を重ねる演出もあります。

日本俳優連合の説明では、ボイスオーバーは外画・動画のランク制だけで一律に決まる仕事ではなく、事務所・プロダクション側へ任されている分野として挙げられています。


参考:

日本俳優連合|居酒屋日俳連

企業案件や小規模作品では金額だけで判断しない

新人声優やフリーランスへ、企業動画、アプリ、小規模ゲーム、同人音声などの依頼が届く場合があります。

提示された金額だけでなく、次の条件を確認しましょう。

  • 原稿量
  • 納期
  • 修正回数
  • 使用媒体
  • 使用期間
  • 販売・広告利用の有無
  • クレジット表記
  • 実績として公開できるか
  • AI学習・音声合成への利用
  • 支払い日

例えば、1万円の依頼でも、数行の社内動画と、数千文字の広告用ゲーム音声では負担と利用価値が異なります。

無料出演・格安案件を受けてもよい?

新人の実績作りとして、報酬の低い仕事を検討する場合もあるでしょう。

ただし、「有名になれる」「次の仕事につながる」という説明だけで、無条件に受けるのは危険です。

少なくとも、次の点を確認してください。

  • 制作主体の身元が分かる
  • 作品の公開先が分かる
  • 報酬と支払い時期が書面にある
  • 収録する量が分かる
  • 利用範囲が限定されている
  • 追加収録の条件がある
  • 不適切な内容へ転用されない
  • 声のAI利用に関する条項がある

公正取引委員会が公表した実演家と芸能事務所等の取引に関する指針では、報酬額・歩合率・実演家が負担する経費などを、できる限り契約上明記することが示されています。


参考:

公正取引委員会|実演家等と芸能事務所等との取引の適正化に関する指針

追加収録・リテイクはすべて無料?

声優本人の読み間違いや演技上の修正で、同じ収録内に録り直すことはあります。

一方、収録後に原稿そのものが変更されたり、利用する媒体が増えたりした場合は、当初の契約範囲に含まれるかを確認する必要があります。

事前に確認したい条件

  • 無料修正は何回までか
  • 原稿変更による再収録を含むか
  • 別日のスタジオ収録に追加料金があるか
  • 宅録の修正期限
  • 発注者側の都合による録り直し
  • 納品後の追加セリフ

無料リテイクを無制限に受けると、最初に提示された金額に対して作業時間が大きく増えてしまいます。

有名声優はアニメ以外の収入が大きい?

知名度の高い声優は、アニメ以外にも次の仕事へ活動を広げている場合があります。

  • ゲーム
  • テレビ・CMナレーション
  • ラジオ・配信番組
  • 作品イベント
  • 本人名義の歌手活動
  • 写真集・書籍
  • 舞台・朗読劇
  • 企業広告・アンバサダー
  • 講師・養成所指導

そのため、テレビアニメの出演本数だけで有名声優の年収を推定することはできません。

アニメ出演は知名度を上げ、別の仕事へつながる入口として大きな価値を持つ場合があります。

声優の収入を安定させやすい仕事とは?

単価が高い仕事だけでなく、一定期間継続する仕事も収入の安定につながります。

  • 長期シリーズの吹き替え
  • 定期番組のナレーション
  • ラジオ・配信のレギュラー
  • ゲームの継続的な追加収録
  • 教材・音声サービスの定期案件
  • 講師・レッスン

ただし、継続案件も番組終了、契約更新、キャラクター展開の終了などにより、突然なくなる可能性があります。

一つの仕事だけに依存せず、複数の分野で経験を積む声優もいます。

仕事を受ける前に確認したい報酬条件

  • 報酬額は税込か税別か
  • 事務所の控除前か、本人の受取予定額か
  • 交通費・宿泊費は別途支給されるか
  • 原稿量・収録時間はどの程度か
  • 使用媒体・期間・地域はどこまでか
  • 追加収録・修正の条件は何か
  • 競合する仕事への出演制限があるか
  • 支払い日はいつか
  • 音声を別作品やAIへ転用できるか
  • 二次利用時の報酬があるか

事務所所属者の場合は、本人が発注者と直接交渉するのではなく、マネージャーや事務所が条件を確認します。

フリーランスや個人で仕事を受ける場合は、自分で発注内容と契約条件を確認する必要があります。

ここまでのまとめ

声優のギャラは、すべての仕事がアニメのランク制で決まるわけではありません。

ここまでのポイントをまとめると、次のとおりです。

  • テレビアニメは出演した話数ごとに報酬が積み重なる場合がある
  • セリフ量や役の重要度だけで基本ランクが決まるとは限らない
  • 主役でも一年間の生活費が保証されるわけではない
  • 再放送・配信では契約や団体協約に基づく二次利用条件が関係する
  • 外国作品の吹き替えもランク・作品時間・用途が関係する
  • ゲームはセリフ量・収録量・拘束時間などで個別に決まる場合がある
  • ゲームの全国共通の1文字・1ワード単価は公表されていない
  • 追加アップデートの音声は別発注になる場合がある
  • ナレーションは媒体・期間・地域・競合などが重要
  • 短いCMでも使用範囲によって条件が変わる
  • ラジオや配信番組はレギュラー化すれば継続収入になる可能性がある
  • イベントのチケット売上が声優へ直接分配されるとは限らない
  • キャラクターソングの歌唱料と作詞・作曲印税は別である
  • 配信再生数だけで声優本人の収入は推定できない
  • 無料・格安案件でも利用期間やAI利用などの契約確認が必要
  • 報酬額だけでなく、修正回数・使用範囲・支払い日を確認する

次の項では、新人声優の月収・年収を仮定したモデルケース、事務所手数料、源泉徴収、交通費、レッスン費などを差し引いた手取り、アルバイトとの両立について解説します。

新人声優の月収はいくら?0円の月もあり得る

新人声優の月収について、「所属したばかりなら月5万円」「アニメへ出演すれば月10万円」など、一つの金額で表すことはできません。

声優の多くは、毎月固定された給料を受け取る働き方ではないからです。

新人声優には、次のような月が発生する可能性があります。

  • オーディションを受けたが、仕事が決まらなかった月
  • 仕事は決まったが、まだ収録していない月
  • 収録はしたが、報酬の支払日が来ていない月
  • アニメへ数話出演した月
  • アニメ、ゲーム、イベントが重なった月
  • 再収録だけが入った月

そのため、声優として活動を始めても、声優業の売上が0円になる月はあり得ます。

事務所へ所属していることと、毎月仕事が保証されることは別です。

新人声優の収入は4つの段階に分けて考える

「声優の月収」を考えるときは、次の4段階を区別しましょう。

  1. 仕事の契約金額・出演料
  2. 事務所や支払者による控除後の入金額
  3. 仕事に必要な経費を差し引いた収支
  4. 税金・社会保険料を含めた生活上の手取り
段階 内容 注意点
出演料 作品や収録に対して設定された報酬 本人の銀行口座へ残る金額とは限らない
入金額 事務所控除や源泉徴収などを経て振り込まれる金額 控除内容は契約・支払い方法で異なる
活動収支 入金額から交通費・レッスン費などを差し引いた状態 声優活動のために出ていくお金も多い
生活上の手取り 税金・年金・健康保険料なども考慮した金額 翌年に負担が発生するものもある

ネット上で紹介されている「声優の月収」は、この4つが混同されている場合があります。

収録した月と報酬が振り込まれる月は同じとは限らない

声優の仕事では、収録が終了した日に現金で報酬を受け取るとは限りません。

報酬の締め日と支払日は、制作会社、事務所、契約によって異なります。

例えば、次のような流れが考えられます。

5月:オーディション合格・出演決定

6月:収録

7月以降:契約で定められた日に入金

この例は支払いの流れを説明するための仮定です。

実際の支払日は、仕事を受ける際の契約書、発注書、事務所の明細などで確認してください。

仕事が多い月でも生活費に使いすぎない

複数の収録が重なり、一時的に入金が多くなる月もあります。

しかし、その翌月に同じだけ仕事が入るとは限りません。

収入が不安定な働き方では、入金された金額を次のように分けて考える必要があります。

  • 現在の生活費
  • 翌月以降の生活費
  • 声優活動の経費
  • 税金に備えるお金
  • 国民年金・健康保険料
  • 急な収録や引っ越しに備える予備費

入金が多い月を通常の月収だと考えず、半年から1年程度の平均で確認しましょう。

新人声優の年収モデルを計算するときの注意点

ここから紹介する収支モデルは、声優の平均年収や実在する契約を示すものではありません。

収入の仕組みを理解するために、次の条件を仮定した計算例です。

計算例の仮定

  • 事務所へ支払う金額を、説明用として売上の20%と仮定する
  • 20%は業界平均や推奨割合ではない
  • 実際の歩合・控除は事務所や契約によって異なる
  • 源泉徴収は年間の税金とは別に精算されるため、モデルの支出には含めない
  • 所得税、住民税、年金、健康保険料は個人差が大きいため含めない
  • アニメ・ゲームなど個別の単価は設定せず、年間の総売上だけで計算する

モデル1|声優の仕事が年間24万円の場合

オーディションを受けながら、年間に数件の仕事が決まった段階を仮定します。

声優業の年間売上 24万円
事務所控除の仮定 4万8,000円
交通・レッスン・宣材などの活動費 18万円
活動費を差し引いた残額 1万2,000円

年間24万円の出演料があっても、活動費を差し引くと、生活費として使える金額がほとんど残らない例です。

この段階では、アルバイトや会社員としての収入が生活の中心になると考えられます。

モデル2|声優の仕事が年間120万円の場合

アニメ、ゲーム、ナレーションなどの仕事が少しずつ増えた段階を仮定します。

声優業の年間売上 120万円
事務所控除の仮定 24万円
交通・レッスン・宣材などの活動費 30万円
税金・社会保険料前の残額 66万円

年間売上120万円でも、税金や年金、健康保険料を差し引く前の残額は66万円という仮定です。

月平均にすると5万5,000円ですが、実際には毎月均等に入金されるとは限りません。

モデル3|声優の仕事が年間360万円の場合

複数の継続案件やイベントなどがあり、年間売上が360万円になったと仮定します。

声優業の年間売上 360万円
事務所控除の仮定 72万円
交通・レッスン・宣材などの活動費 50万円
税金・社会保険料前の残額 238万円

売上360万円が、そのまま年収360万円の手取りになるわけではありません。

この残額から、所得税、住民税、国民年金、健康保険料などを負担する可能性があります。

声優の年収モデル比較

モデル 年間売上 事務所控除の仮定 活動費 税・社会保険前の残額
仕事が少ない段階 24万円 4万8,000円 18万円 1万2,000円
仕事が増え始めた段階 120万円 24万円 30万円 66万円
複数案件がある段階 360万円 72万円 50万円 238万円

実際には、事務所が負担する費用、本人負担の経費、事務所の歩合、税金などが異なります。

この表から分かるのは、声優の売上と、生活に使えるお金には大きな差が出る可能性があるという点です。

事務所のマネジメント料・取り分はいくら?

声優事務所のマネジメント料に、業界共通の割合はありません。

ネット上には「事務所が〇割取る」といった説明がありますが、すべての声優・事務所へ当てはめることはできません。

契約によって、次のような違いが考えられます。

  • すべての仕事を同じ割合で分ける
  • アニメ、イベント、音楽などで割合が異なる
  • 事務所が獲得した仕事と、本人が獲得した仕事で異なる
  • 一定の費用を差し引いた後に分配する
  • 固定のマネジメント費が設定される
  • 新人育成費や宣材費の扱いが別に定められる

公正取引委員会の指針では、報酬の額・歩合率、本人が負担する経費などの条件について、できる限り契約へ明記することが望ましいとされています。


参考:

実演家等と芸能事務所等との取引の適正化に関する指針|公正取引委員会

事務所との契約で確認したい報酬項目

  • 出演料の分配割合
  • 消費税を含む金額から分配するか
  • 源泉徴収前・後のどの金額を基準にするか
  • 二次使用料の分配割合
  • イベント・音楽・グッズ収益の扱い
  • SNS・配信・ファンクラブ収益の扱い
  • レッスン費・宣材費の負担
  • 交通費・宿泊費の負担
  • 明細を受け取れるか
  • 報酬の支払日
  • 退所後に発生した二次使用料の扱い

契約書へ書かれていない費用が差し引かれている場合は、明細と契約内容を確認する必要があります。

報酬明細で確認したいこと

事務所から報酬明細が発行される場合は、入金額だけでなく内訳を確認しましょう。

確認項目 確認する内容
作品・仕事名 どの出演に対する報酬か
出演料 控除前の報酬額はいくらか
二次使用料 再利用などの報酬が含まれているか
事務所控除 契約上の割合・費用と一致しているか
源泉徴収税額 税金として差し引かれた金額
交通費・立替金 支給・控除された費用の内容
支払日 いつの収録分がいつ支払われたか

仕事名や支払日を、自分のスケジュール帳や契約書と照合できるようにしておきましょう。

源泉徴収とは?出演料から約10%引かれる理由

声優などの出演者へ個人名義で対象となる報酬を支払う場合、所得税と復興特別所得税が事前に差し引かれることがあります。

これを源泉徴収といいます。

一般的な対象報酬では、支払金額が100万円以下の部分について、税率10.21%で計算されます。

一回の支払金額が100万円を超える場合は、100万円を超えた部分に20.42%が適用される場合があります。

出演料10万円を個人へ直接支払う仮定例

報酬額:100,000円

源泉徴収税額:100,000円 × 10.21% = 10,210円

差引入金額:89,790円

ただし、これは税額計算を理解するための単純な例です。

事務所を経由して支払われる場合は、出演者、事務所、制作会社の契約関係によって処理が異なる可能性があります。


参考:

源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

源泉徴収された金額は最終的な税金ではない

報酬から10.21%が差し引かれていても、それだけで年間の所得税が確定したわけではありません。

源泉徴収は、税金を前払いしているような仕組みです。

一年間の収入と必要経費、各種控除などを基に最終的な所得税を計算し、確定申告で精算します。

  • 源泉徴収された金額の方が最終税額より多ければ、還付される場合がある
  • 源泉徴収された金額より最終税額が多ければ、追加納付になる場合がある
  • ほかに給与や事業収入があれば、それらも含めて計算する

「最初から税金を引かれているから確定申告は不要」とは限りません。

声優の収入は事業所得?雑所得?

個人で受け取る声優の出演料は、活動の継続性、規模、帳簿、営利性などの実態によって、事業所得または雑所得として扱われる可能性があります。

本人が自由に「今年は事業所得」「今年は雑所得」と選べるものではありません。

活動を事業として継続している場合は、売上と経費を記録し、帳簿を保存することが重要です。

アルバイト先から受け取る給与は給与所得、声優の業務委託報酬は事業所得または雑所得など、収入の性質が分かれる場合があります。

具体的な判断に迷う場合は、税務署や税理士へ相談してください。

確定申告に備えて残しておきたい資料

  • 事務所・制作会社からの報酬明細
  • 交付された支払調書
  • 出演契約書・発注書
  • 銀行口座の入金履歴
  • 交通費の記録
  • レッスン・スタジオ代の領収書
  • 機材・パソコンなどの領収書
  • 宣材写真・ボイスサンプル制作費
  • 仕事のスケジュール
  • 自宅と仕事で兼用した費用の計算根拠

現金で支払った費用も、日付、金額、目的を記録しましょう。

声優活動で必要経費になり得るもの

税務上の必要経費とは、売上を得るために直接必要となった費用です。

声優活動では、次のような支出が必要経費になる可能性があります。

  • 収録・オーディション会場までの交通費
  • 仕事に必要な宿泊費
  • ボイスサンプルの収録・編集費
  • 宣材写真の撮影費
  • 演技・発声レッスン代
  • 業務に関連するワークショップ代
  • マイク・オーディオインターフェース
  • ヘッドホン・録音機材
  • 業務用のパソコン・ソフトウェア
  • 台本を印刷するための用紙・インク
  • 仕事上必要な通信費
  • 業務に関連する書籍・資料
  • イベント用の衣装・ヘアメイク費
  • 事務所へ支払うマネジメント料

ただし、支払ったから自動的にすべて必要経費になるわけではありません。

声優の仕事とどのような関係があるのか、説明できる記録を残しましょう。


参考:

必要経費の知識|国税庁

趣味と仕事の両方で使う費用は全額経費になる?

スマートフォン、インターネット、自宅の電気代、動画配信サービスなどは、私生活でも使用することがあります。

仕事と私生活の両方で使用する場合は、仕事で使用した部分を合理的に分ける必要があります。

分け方の例

  • スマートフォン:業務通話・連絡に使用した割合
  • インターネット:宅録・データ納品など業務使用の割合
  • 自宅家賃:業務専用スペースの面積や使用状況
  • 電気代:録音機材・パソコンを業務で使った割合

作品を見るための動画配信サービスも、単に趣味として視聴している場合と、具体的な仕事研究として必要な場合では扱いが異なります。

何でも経費にするのではなく、仕事との関係を説明できる範囲にします。

声優活動の経費になりにくいもの

次のような支出は、原則として個人的な生活費と判断される可能性があります。

  • 普段の食事代
  • 日常生活でも着る一般的な洋服
  • 仕事と関係のない旅行・娯楽
  • 個人的な美容・健康維持費
  • 家族や友人との飲食代
  • 仕事との関係を説明できないゲーム・書籍
  • 仕事以外で使用する家電

「声優には体調管理や作品研究が必要だから」と考えるだけで、個人の生活費がすべて必要経費になるわけではありません。

レッスン代を払っているのに収入がないこともある

新人声優は、仕事が決まっていない時期にもレッスン費、交通費、宣材費などを負担する可能性があります。

例えば、月に次の支出があるとします。

レッスン費 15,000円
交通費 8,000円
録音・資料・通信費 7,000円
月の活動費合計 30,000円

その月の声優収入が1万円なら、活動収支は2万円の赤字です。

声優を続けるには、生活費だけでなく活動費をどこから出すかも考える必要があります。

声優は国民年金・国民健康保険を自分で払う?

声優が会社員として雇用され、勤務先の厚生年金や健康保険へ加入しているとは限りません。

自営業・フリーランス型で、勤務先の社会保険や配偶者の扶養に入っていない場合は、自分で国民年金や国民健康保険の手続きを行う可能性があります。

国民年金

日本年金機構によると、日本国内に住む20歳以上60歳未満の自営業者などで、第2号・第3号被保険者に該当しない人は、国民年金の第1号被保険者になります。


参考:

第1号被保険者|日本年金機構

国民健康保険

国民健康保険料・保険税の具体的な計算方法は、住んでいる市区町村などによって異なります。

所得だけでなく、世帯の加入者数などが関係する場合もあります。


参考:

国民健康保険の保険料・保険税について|厚生労働省

声優収入が少ない場合でも、社会保険料の負担が完全になくなるとは限りません。

所得が低い世帯向けの軽減・免除・猶予制度に該当する場合があるため、支払いが難しいときは放置せず、年金事務所や自治体へ相談してください。

アルバイト先の社会保険に入る場合もある

新人声優がアルバイトや契約社員として働いている場合、勤務時間や勤務先などの条件によっては、勤務先の健康保険・厚生年金へ加入する場合があります。

声優収入があるという理由だけで、必ず国民健康保険・国民年金になるわけではありません。

次の点を確認しましょう。

  • アルバイト先で社会保険へ加入しているか
  • 家族の扶養に入っているか
  • 収入増加によって扶養条件から外れないか
  • 退職した際に国民年金・国民健康保険の手続きが必要か

加入条件は制度改正や働き方によって変わるため、勤務先と公的窓口へ確認してください。

住民税は収入が増えた翌年にも注意する

所得税とは別に、住民税が発生する場合があります。

住民税は前年の所得を基に計算されるため、声優収入が増えた翌年に負担を感じることがあります。

入金された報酬をすべて使わず、翌年の税金に備えて一部を残しておきましょう。

具体的な金額や課税条件は、住んでいる自治体や本人の所得・控除によって異なります。

新人声優が生活するために必要な金額を計算する

声優として生活できるかを判断するときは、売上目標ではなく、毎月必要な現金から逆算します。

毎月必要なお金 = 生活費+声優活動費+税金・社会保険の積立+予備費

一人暮らしを想定した仮定例

家賃・食費・光熱費など 140,000円
レッスン・交通・通信など 30,000円
税・社会保険に備える積立 20,000円
毎月必要な現金 190,000円

この金額は全国共通の生活費ではなく、計算方法を示すための仮定です。

東京で一人暮らしをする人、実家で生活する人、地方から通う人では必要額が異なります。

「月収20万円」では生活できない場合もある

声優業の売上が月20万円あっても、そこから次の金額が出ていく可能性があります。

  • 事務所との契約に基づく控除
  • 源泉徴収
  • 交通費
  • レッスン費
  • 宣材・機材費
  • 国民年金
  • 健康保険料
  • 所得税・住民税

そのため、会社員の給与20万円と、フリーランス型の売上20万円は同じではありません。

新人声優がアルバイトをする理由

新人声優がアルバイトをする主な理由は、単に声優として努力していないからではありません。

  • オーディションに合格するまで収入が発生しない
  • 仕事が決まっても毎月継続するとは限らない
  • 入金まで生活費が必要
  • レッスンや宣材制作にお金がかかる
  • 急な収録へ対応できる余裕を残したい

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」も、声優だけでは生活できず、副業で生計を立てる人が多いと説明しています。


参考:

声優|職業情報提供サイト job tag

声優活動と両立しやすいアルバイトの条件

具体的な職種より、働き方の条件を確認することが重要です。

  • シフト変更を相談しやすい
  • 急なオーディションへ対応できる
  • スタジオが多い地域へ移動しやすい
  • 長時間大声を出さず、喉への負担が少ない
  • 睡眠時間を確保できる
  • レッスンの曜日と重ならない
  • 最低限の生活費を安定して得られる
  • 副業・芸能活動が禁止されていない

接客業はコミュニケーション経験を得られる一方、長時間話し続けることで喉が疲れる可能性があります。

深夜勤務は昼間のオーディションへ対応しやすく見えても、睡眠不足や体調不良につながる場合があります。

自分の体調と活動予定に合わせて選びましょう。

急な収録とアルバイトをどう両立する?

声優の仕事では、候補日の確認やスケジュール調整が必要になることがあります。

アルバイト先とトラブルにならないよう、次の方法を検討します。

  • 芸能活動をしていることを事前に伝える
  • 代わりの人を探すルールを確認する
  • 固定勤務と自由シフトを組み合わせる
  • オーディションが多い曜日を空ける
  • 無断欠勤や直前キャンセルを繰り返さない
  • 生活費数か月分の予備費を準備する

声優の仕事を優先するあまり、アルバイト先で信用を失うと、生活基盤そのものが不安定になります。

アルバイト代と声優報酬は税金上の扱いが違う

アルバイト先から雇用契約に基づいて受け取るお金は、一般に給与として扱われます。

一方、声優の出演料を業務委託・個人事業として受け取る場合は、給与とは別の所得区分になる可能性があります。

年末調整を受けていても、声優報酬やほかの収入の状況によって、確定申告が必要になる場合があります。

必要性は年間の金額、所得区分、源泉徴収、控除などで異なるため、単純に「副業が少額なら何もしなくてよい」と判断しないようにしましょう。

声優収入専用の銀行口座を作るメリット

法律上必ず別口座にしなければならないわけではありませんが、声優活動の入出金を分けると管理しやすくなります。

  • どの仕事から入金されたか分かる
  • 未払いの報酬に気付きやすい
  • 活動費の総額を確認できる
  • 確定申告の集計がしやすい
  • 私生活の支出と混ざりにくい

声優活動用のクレジットカードや電子決済を分ける方法もあります。

新人声優はどのくらい貯金が必要?

必要な貯金額は、実家暮らし、一人暮らし、家賃、アルバイト収入などで異なります。

考え方としては、次の費用を分けて計算しましょう。

  • 数か月分の生活費
  • 養成所・レッスン費
  • 交通費
  • 宣材写真・ボイスサンプル費
  • 急な機材購入・修理費
  • 税金・社会保険料
  • 引っ越し・上京費用

「所属できればすぐに仕事が入り、貯金がなくても生活できる」という前提で計画するのは危険です。

養成所費用と所属後の収入を混同しない

養成所へ通う段階は、声優の仕事をして給料をもらう段階とは異なります。

養成所では、入所金、授業料、交通費などを支払い、演技や発声を学びます。

養成所へ入っただけで、事務所所属や仕事が保証されるとは限りません。

所属後もオーディションを受け、仕事へ選ばれて初めて報酬が発生します。

所属オーディションを受ける前に確認したい費用

  • 所属後にレッスン費が必要か
  • 宣材写真の撮影費は誰が負担するか
  • ボイスサンプル制作費は必要か
  • プロフィール掲載料・登録料があるか
  • 仕事の紹介料やマネジメント料
  • 退所時に費用請求があるか
  • 交通費・宿泊費の負担

合格後に高額なレッスン契約を急いで求められた場合は、契約内容と運営主体を確認してください。

未経験者向けオーディションの探し方と、怪しい募集の見分け方は次の記事でも解説しています。

声優の仕事だけで生活できるか判断するチェックリスト

  • 直近6~12か月の声優業売上を確認した
  • 事務所控除後の入金額を把握している
  • 毎月の活動費を把握している
  • 税金・社会保険料を積み立てている
  • 入金がない月にも生活できる
  • 一つの作品が終了しても別の収入がある
  • 数か月分の生活予備費がある
  • アルバイトを減らしても収支が赤字にならない
  • 報酬の支払時期を把握している
  • 継続案件が終了した場合も想定している

一度だけ月収が高かったことを理由に、すぐアルバイトを辞めるのは慎重に判断しましょう。

新人声優の収入管理で避けたいこと

売上をすべて手取りだと考える

事務所控除、活動費、税金、社会保険料を考慮していない状態です。

源泉徴収されているから確定申告しない

源泉徴収は最終的な所得税額ではありません。

領収書をすべて捨てる

活動に必要な費用を確認できず、年間収支も分からなくなります。

仕事と私生活の費用をすべて混ぜる

何にいくら使ったのか集計しにくくなります。

入金が多い月に使い切る

次の仕事がない期間や、翌年の税・社会保険料へ対応できなくなる可能性があります。

契約を読まず事務所の取り分を推測する

ネット上の割合ではなく、自分の契約書と明細を確認しましょう。

ここまでのまとめ

新人声優の月収・年収は、出演料の合計だけでは判断できません。

第3回のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 事務所へ所属しても声優収入が0円の月はあり得る
  • 仕事が決まった月・収録月・入金月は異なる場合がある
  • 売上・入金・活動収支・生活上の手取りを分けて考える
  • 事務所の歩合に全国共通の割合はない
  • 報酬額、歩合、経費負担は契約書と明細で確認する
  • 売上120万円でも、経費や事務所控除後の残額は大きく減る可能性がある
  • 源泉徴収は税金の前払いであり、最終税額ではない
  • 声優報酬は実態により事業所得・雑所得などとして扱われる
  • 交通費、レッスン費、宣材費などが必要経費になる場合がある
  • 私生活と兼用する費用は、業務使用分を合理的に分ける
  • フリーランス型の声優は国民年金・国民健康保険を自分で負担する場合がある
  • アルバイト先の社会保険へ加入する場合もある
  • 住民税など翌年の負担にも備える
  • 生活費だけでなく声優活動費も毎月必要になる
  • 新人期間にアルバイトをすることは珍しい働き方ではない
  • アルバイトは急な収録、喉、睡眠との両立を考えて選ぶ
  • 声優業と給与収入の両方がある場合は税務処理にも注意する
  • 一度の高収入ではなく、半年から1年の平均で生活可能か判断する

次の項では、声優が収入を増やす方法、アニメ以外の仕事へ広げる考え方、ランクを上げることのメリットと注意点、「主役なら高収入」「有名声優は全員お金持ち」といった誤解、よくある質問、記事全体のまとめを解説します。

ボイスオーバーのギャラ

ボイスオーバーとは、ドキュメンタリー、ニュース、情報番組などで、外国語の発言内容を日本語で伝える音声表現です。

外国映画の吹き替えとは異なり、元の話者の声を小さく残しながら、日本語音声を重ねる演出もあります。

日本俳優連合が2025年に公表した説明では、ランク制度は主に次の音声出演者へ適用される報酬の基準制度とされています。

  • アニメーション
  • 外国作品の吹き替え
  • ボイスオーバー

ただし、すべての番組、制作会社、出演者へ同じ条件が一律に適用されるとは限りません。

所属状況、団体協約の対象、番組の長さ、使用目的、個別契約などによって条件が変わるため、実際の報酬は事務所や契約書で確認してください。


参考:

2025年6月開催 日俳連説明会・アンケート質問への回答|日本俳優連合

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする